一昨年度(平成21年度)から、松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居資料館では、国の緊急雇用制度を利用して調査員を雇用し、歴史資料(古文書など)の調査・整理を行っています。
現在、調査・整理作業中の古文書は、明治時代に初代松茂村長を務めた人物に関するもので、地方政界のみならず、財界でも活躍された名士の史料です。調査員さんが封筒入れ・形状の測定・年月日など基本情報の調査をした後に、学芸員(私)が標題(古文書のタイトル)を付けていきます。1点ものの古文書には、書籍のようにあらかじめ決められたタイトルが無く、その都度に内容を考証して標題を作成します。時間がかかるのが難点で、なかなか作業がはかどりません。
ただそれでも、明治22年(1889年)の「松茂村」発足に関する史料や、明治時代の吉野川水系の治水に関する史料など、地域史の空白を埋める古文書が数多く含まれており興味は尽きません。特に「市制」「町村制」の施行により、国策として進められた明治22年の合併について、地域社会がどう対応したかが推測できる史料もあり、今後、しっかりと研究を進めなければならないと決意したところです。
(主任学芸員 松下師一)