2016年8月24日水曜日

博物館実習(4・5日目)


博物館実習も後半戦に突入しました。
後半の2日間は、学芸員の仕事の中心でもある展示実習を中心におこないました。


今回の模擬展示のテーマは「はこぶ」です。展示をするにあたり、まずはグループワークで企画会議を開催しました。そこでは、企画展の趣旨や展示資料の選定、展示ケースの配置などを決定していきます。

実習生達が一番悩んでいたものが“展示の名前”です。企画展・特別展の名前を決めるのは一番苦労するところであります。

なんとか展示が完成しました。実習生の考えたテーマは、“はこぶ”=“季節をはこぶ”という視点でむかし使われていた道具を四季にあわせて展示しました。今回は、スペースの都合で“夏”と“冬”のコーナを展示してもらいました。


テーマの“季節をはこぶ”という発想がなかったので、私自身感心し勉強させてもらうことができました。今後の展示の参考にぜひさせてもらいたいと思います。

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最終日(5日目)の午後には、町内にある三木文庫さんにご協力いただき実習をさせていただきました。


展示されている資料を梱包し段ボールに詰める作業をしている実習生です。藍染めで使用する染料をいれていた壷を丁寧に梱包しております。



こちらの実習生は、藍染めで使用する大型の道具のほこり払いや点検作業をおこなっております。木製のものが多く、虫による食害などの恐れもあるため、こまめな掃除が重要となってきます。

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今回の実習では、資料館の学芸員としての業務と文化財行政としての業務、それぞれの視点から実習をおこないました。実習で学んだことを少しでも活かしてもらうとともに、ひとりでも多くの実習生が学芸員を目指し、今後も文化財の保護などの活動に取り組んでもらえることを願います。

(学芸員 菅野将史)

「二上り音頭とまわり踊り」を見学してきました。


毎年8月23日は、松茂町中喜来の呑海寺(どんかいじ)で、中喜来二上り音頭保存会による「地蔵盆」の行事(通称「二十三夜)が開催されます。昨日、松茂にやってきてはじめて見学することができましたので、ご紹介します。


お寺の前庭に設けられた櫓の上では、町指定無形民俗文化財「二上り音頭」が演奏されます。
「二上り音頭」は、三味線の二の糸を半音上げて演奏することで、江戸時代に阿波で盛んにおこなわれたいた浄瑠璃(義太夫)と、伊勢から伝来した「伊勢音頭」が融合した民謡です。


歌詞は、浄瑠璃のセリフがそのまま用いる「浄瑠璃くずし」と呼ばれ、「義経千本桜」や「朝顔日記」などが唄われました。


夜8時頃になると、練習が終わった野球少年たちも「まわり踊り」に参加しはじめました。見よう見まねで踊る3歳くらいの子どもたちおり、地元の民俗芸能がしっかり受け継がれているなと感心しました。


県内の吉野川市美郷の「廻り踊り保存会」とも交流しています。交流会の前には、山岳信仰で使用する法螺貝での祈願もおこなわれました。夜中にいきなり法螺貝の音が聞こえてきて、びっくりする人もいたかと思います。


手前の紫色の法被を着ている方々が、美郷の「廻り踊り保存会」の方々です。いつしか、子供から大人まで大勢の踊り手たちが、櫓の周りを回って踊りに興じておりました。

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9月19日には、美郷での交流会が開催されます。またのレポートをご期待ください。


(学芸員 菅野将史)

2016年8月20日土曜日

博物館実習(3日目)

博物館実習も3日目をむかえました。
今日は毎月第3土曜日におこなっている、人形浄瑠璃の定期公演の日です。

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午前中は、定期公演の特設舞台の準備をするまでの間、館内に設置している害虫トラップの交換作業をおこないました。


交換用のトラップを組み立てる作業です。 そして、いよいよ館内のトラップの回収作業開始です。


資料に悪影響を及ぼす害虫がかかっていないか恐る恐る確認しながら回収します。最終的に、回収したトラップの中身を確認後、専門の業者へ依頼しどのような虫がいたかを判定してもらいます。

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トラップ作業終了後は、今日のメインイベントである人形浄瑠璃芝居定期公演の会場設営です。


文化財展示室内に特設舞台を設置していきます。背景幕の設置では、慣れない作業のためか幕を広げるのも大変そうです。職員の指導のもと、なんとか背景幕を張ることができました。


そして、14時から地元松茂で活躍する「ふれあい座」による定期公演の上演です。せっかくの機会ですので、実習生達にも鑑賞してもらいました。

(学芸員 菅野将史)

2016年8月19日金曜日

博物館実習(2日目)


実習2日目は、まず「埋蔵文化財包蔵地」の立ち会いに行ってきました。資料館では、主に文化財行政も担当しています。


「包蔵地」とは、石器や土器などの遺物が出土したり、住居跡・古墳などの遺跡が埋まっている可能性のある土地のことをいいます。なお、松茂には2か所包蔵地に指定されている場所があります。


つづいて、「夏休みこども陶芸教室」です。今日の工程は、子どもたちが作った作品に釉薬で色をつける作業でした。実習生には、釉薬の準備や子どもたちの補助をしてもらいました。


最後に、「藍甕の手入れ」です。藍染めで使用する藍は生き物であるため、その管理は大変です。それぞれの甕を一生懸命混ぜてもらいました。

その姿をみて、私が行った博物館実習先でも藍甕の手入れをした時のことを思い出しました。

(学芸員 菅野将史)


2016年8月18日木曜日

博物館実習(1日目)


8月18日~24日まで、四国大学の学生4名が博物館実習をおこないました。その実習内容を紹介していきます。




午前中は、展示室や収蔵庫などの施設見学をおこないました。普段は見学することができない収蔵庫の環境や設備を学ぶことも大事な実習の一環です。


午後は、10月下旬から開催する町民コレクション展第2弾「原田鉄行氏遺作展-追憶-」で展示する作品の搬入と点検作業をおこないました。


この彫刻は、展示する作品の一部です。借用資料の状態や寸法を測り、調書を作成する業務も学んでもらいました。

(学芸員 菅野将史)