平和を願って交換された「青い眼の人形」アリス・ジョンストンちゃんと、答礼人形「ミス徳島」とが顔を合わせた展示会が、当資料館で開催され、会期最後の日曜日にお別れ会があった。
お別れ会には、主催関係者と共に実行委員の一人として、『嵐の中に咲いた花・青い目の人形アリスちゃん』の著者・原田一美先生も臨席され、送別の辞を述べられた。
先生は著書の経緯について簡単に述べられた後、生ける人に話すように人形に別れのことばをかけられた。私も、「ひとたびは微笑失せし人形の夢ぞ再び永遠にこはすな」という短歌一首を献じて展示会への賛歌とした。
因みに、 先生は私にとって、教育者としても、児童文学作家としても優れた先輩であり、暫し、久闊を叙すところとなった。
哲学者カントが「永遠の平和のために」を書いたのは1795年秋である。カントは、人間の理性に確乎たる信頼をおいて、日米の人形は、人間の情感に切々と訴えて平和の尊さを説いた。しかし、今なお、戦争や紛争は絶えない。我々は永遠の平和の実現のためにまだまだ、様々な努力をしなければならない。人間の尊厳をかけて。
(元・館長〔現・町誌編さん主任〕 笹田博之)