2015年12月18日金曜日

徳島県博物館協議会研修会参加記


12月8日に開催された、徳島県博物館協議会の研修会に参加してきました。
会場は、吉野川市にある阿波和紙伝統産業会館(http://www.awagami.or.jp/)です。

産業会館の外観
はじめに、講演会がおこなわれました。

 工藤 多美子氏(阿波和紙伝統産業会館)
  演題「アートとの取り組み―和紙作りの現場から―」

産業会館には、海外から多くのアーティストが作品に使用する和紙を制作しに訪れるそうです。日本で作られた和紙が、海外の作品に使われているのには驚きました。
また、アメリカからは美大生を受け入れ、原材料の楮の収穫から和紙制作までの工程を体験する研修会などを開催しているそうです。

近年では、平成26年には、「石州半紙」(島根県浜田市)、「本美濃紙」(岐阜県美濃市)、「細川紙」(埼玉県小川町、東秩父村)が、ユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあり、大変興味深い内容の講演でした。

*     *     *

つづいて、館内見学と手漉き体験をしました。

館内を説明する工藤氏
1階にある作業スペースでは、紙漉き職人たちが企業などから発注を受けた和紙を制作していました。いろいろな紙の寸法に対応するため、大小さまざまな道具を使って紙漉きを行います。
和紙に模様をつける作業
上から細かい水を吹き付け、独特の模様をつける技術はまさに職人技です。
乾燥機を通過中の和紙
紙漉体験ではハガキを作ることができました。伝統の技法で行う紙漉きは、ハガキサイズとはいえなかなか難しいものです。みなさん楽しみながらも、真剣な面持ちで紙漉きを体験しました。
紙漉き体験
できあがった和紙に色や模様を付けて、それぞれの作品が完成しました。
個性豊かなハガキたち
紙漉体験ではハガキサイズの他に、半紙判や3時間の自由制作を体験できるコースもあります。
興味のある方は、ぜひ体験してみてください。

自分で紙漉きをしたハガキで、年賀状を作るのも風情があってよいかもしれませんね。

(学芸員 菅野 将史)