成果展「神社に隠れたどうぶつたち ~旧若宮神社の木鼻~ 」
博物館実習生が試行錯誤しながら行った「成果展示」の紹介をしたいと思います。
「成果展示」は、資料館常設展示室内にて行っておりますので、ぜひご覧ください。
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実習生は、この成果展を開催するにあたり「社寺彫刻の魅力を再発見する」をテーマに行いました。
展示した資料は、長原地区にあった旧若宮神社(長原字中須)の柱から突き出した部分に施された彫刻『木鼻』(きばな)の展示を行いました。
この『木鼻』の歴史は古く、鎌倉時代に俊乗坊重源という高僧が、中国から持ち帰った建築技法「貫」(ぬき)が採用されたころまで遡るそうです。
名前の由来は、もともと「木の先端」という意味の「木端」(きばな)が転じて「木鼻」に書き換えられたという説もあります。
展示中の木鼻 |
『木鼻』には、象・獅子・獏などの動物をモチーフにしたものや、渦紋や植物紋が施されたものがあるそうです。
展示する向きにも工夫が凝らされています。動物たちの造形が分かるように、向き合って並べられたものと、柱に施された姿を再現したものと二通りの方法で展示しています。
獅子をモチーフにした木鼻 |
ちなみに、現在の若宮神社は、社殿老朽化にともない昭和61年(1986)に改築されているため、残念ながら動物をモチーフにした『木鼻』を見ることはできませんでした。(実習中に、実習生と現地にも確認しに行きました。)
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今回の実習生成果展は、寺社の彫刻を取り上げることで、寺社彫刻の魅力に興味を持ってもらえるだけでなく、松茂町の歴史や文化を再発見することができる展示になったかと思います。
実習生のみなさん、お疲れ様でした。
(学芸員 菅野 将史)