毎年8月23日は、松茂町中喜来の呑海寺を会場に、「二十三夜」(主催:中喜来協議会)の祭礼が開催されます。せっかく視察に行ったのですが、うっかりカメラを忘れてしまい、手持ちのスマホで撮影してみました。
境内中央に設けられた櫓の周囲を、踊り手が輪になって「回り踊り」をします。「阿波おどり」に代表される“行進踊り”のイメージが強い徳島県では、「回り踊り」はマイナーな印象です。
櫓の上では、町指定無形民俗文化財「二上り音頭」が実演されます。太棹三味線を伴奏に、“音頭出し”が浄瑠璃くずし音頭を吟じます。近年、踊りやすいようにという考えから、拍子木を打つようになりましたが、本来は三味線と声(浄瑠璃くずし音頭)だけで踊っていました。
櫓の中央、黒いTシャツの人物は、三味線に取り組む少年です。伝統芸能に取り組む若者がいること、とてもうれしいですね。
一昨年から、吉野川市美郷の「廻り踊り」と交流しています。薄い青の法被が中喜来二上り音頭保存会、濃紺の法被が美郷廻り踊り保存会の面々です。
美郷の保存会から、山岳信仰で行われている法螺貝の実演披露がありました。
地元、喜来小学校の児童も参加して、踊りの輪は延べ1時間あまり(途中、数度の休憩あり)続けられました。
(主任学芸員 松下師一)