2010年10月15日金曜日

巡回展(6) 展示と視覚障碍

 
 今日(10月15日)、視覚に障碍がある方と、音訳ボランティアグループ「まつばぎく」の方々が来館されました。音訳ボランティアとは、視覚に障碍がある方に、町の行政情報をお知らせするため、『広報まつしげ』などを音読してテープに録音しているグループのことです。

 ここ5年くらい、機会をみては視覚に障碍がある方と伴に、当館を利用してくださいます。ただ、難しいのは、「資料館」「博物館」「美術館」という施設が、「見る」ことを前提にした施設だということです。「見る」ことができない視覚障碍者に、どのように施設の良さを感じ取ってもらうか、正直これは至難の業です。

 私は、「触る」と「聴く」で代替するしかないと思います(まれに「臭う」もあるかな)。

 本日来館のきっかけは、「青い目の人形」や「ミス徳島」への関心でしたが、さすがに触ってもらうわけにいきません(他からの借用品です。私が許可できるものではありません)。そこで代わりに、館蔵資料の中から木偶人形(オープン展示の現代人形師の作品)に触ってもらうことにしました。「ミス徳島」の市松人形とは違いますが、ともに日本伝統の人形です。材料の素材や胡粉の触感、からくりのおもしろさ、髪の毛や衣装の仕様を感じていただきました。

まず、握手。最初は恐る恐る触ってみます。
 
 最初は恐る恐る触っていましたが、慣れてくると興味がわいて、積極的に人形の造作や素材を調べていました。

慣れてきました。これは何だろう?
 
 その上で、「青い目の人形」や答礼人形に関するビデオ(「ミス三重」をテーマにした作品)を聴いていただました。展示の理由を知ってもらい、雰囲気を理解してもらうためです。

 そして最後に、巡回展会場です。市松人形の「ミス徳島」と木偶人形は違う人形ですが、胡粉や髪の毛、衣装など、共通の部分もあります。そのイメージを参考に、音訳ボランティアグループ「まつばぎく」メンバーの詳細な実況解説によって、視覚の障碍と、触覚が使えないハンディを何とか補いました。どうでしょう、楽しんでいただけたのではないでしょうか。

「ミス徳島」を実況解説中
 
 お帰りの際、「まさか木偶人形に触れるとは思わなかった。」と、微笑みながら話してくださいました。

(主任学芸員 松下師一)

 

 

2010年10月14日木曜日

巡回展(5) 松茂小学校2年生が見学

 
 昨日(10月13日)、松茂小学校2年生の団体見学がありました。

 生活科の校外学習で、「公共施設」の見学でしたが、ちょうど巡回展の期間中だったので、「青い目の人形」と「ミス徳島」についても展示解説を聞いてもらいました。日米関係の歴史、戦争と平和の歴史を、2年生の皆さんはどんなふうに感じ取ったのでしょうか。

 わが国の未来を担う子どもたちに、「平和」と「友情」の大切さにについて、いろんな経験を通して学んでほしいと思います。

 え~、もちろん、本来の見学のねらいである「公共施設」についても解説しました。「資料館」は大切な文化財を保存・展示し、それを見て、大人も子どもも学習をする公共施設です。

 「観感楽学」(かん・かん・がく・がく)、「観て・感じて・楽しく・学ぶ」の精神で、大いに利用しましょう。

(主任学芸員 松下師一)

巡回展(4) 活躍しました「1日広報係」

 
 昨日(10月13日)、喜来小学校の6年生6名が、「仕事体験学習」として、当館の「1日広報係」に任命されました。巡回展をPRするポスター・チラシの作成と、学校内での掲示・配布です。

 2名ペアで作業を開始。最初は、会議室の中で相談しながら下書きを作成しました。



 清書は展示室の中、実際に展示を見ながら作業をしてもらいました。ご観覧のお客様には、ちょっとご迷惑をおかけしましたが、児童に「実物の魅力」「ライブ感覚」を体感してほしいと思い、あえて展示室内ワークショップで最後の仕上げです。



 できあがったポスター・チラシの原画は、すぐに印刷して、喜来小学校で掲示・配布されました。また、巡回展期間中、当館文化財展示室前にも掲示してあります。

 6名の皆さん、「1日広報係」お疲れさまでした。

(主任学芸員 松下師一)

2010年10月12日火曜日

巡回展(3) さし絵原画展

 
 巡回展「海を渡った人形と平和への願い」の関連企画として、10月17日〔日〕まで文化財展示室前で、原田一美著『青い目の人形 ― 海を渡った親善人形と戦争の物語 ―』さし絵原画展」を開催中です(観覧無料)。


 
 原田一美さんは、現代・徳島を代表する児童文学作家の一人です。本書は実話をもとにした作品で、昭和2年(1927年)に神領小学校にやってきた「青い目の人形」アリス・ジョンストンちゃんと、神領の人々の心暖まる物語です。

 本書には、物語のイメージを豊かにするさし絵(枡田努・鎌田邦宏 画)が、随所に掲載されています。今回、海陽町立博物館のご尽力・ご協力により、その原画の多くを展示することになりました。ぜひ、ごゆっくりご鑑賞ください。


 
  この展示が、戦争と平和を考える機会となり、日米友好の一助となれば幸いです。


 


 なお、今回の巡回展では、原田一美さんの著書の他にも、「青い目の人形」や答礼人形に関する複数の書籍を展示・紹介しています(※ 販売・貸出はしていません)。あわせてご覧ください。


 
 それと、当館恒例、元館長・笹田博之さんの短歌も掲示しています。今回の巡回展への思いを詠んだものです。


 
(主任学芸員 松下師一)

 

巡回展(2) アリスちゃんの洋服

  
 「青い目の人形」アリスちゃんと、答礼人形「ミス徳島」を見てくださいましたか。

 当館に展示中のアリスちゃんは神領小学校の制服を着ていますが、本来の洋服は右横に展示してあるワンピース型のドレスでした(下の写真)。この洋服を、皆さんはどのように感じられましたでしょうか。83年も前の洋服が、現在でも十分着られるように思いませんでしたか。


 
 日本は、明治時代に洋服が入ってくるまで、着丈・胴回りを自由に調整する着物文化でした。洋服文化においては、16世紀頃から、コルセットで体の形を整えることが広まり、18世紀に入ると、女性はウエストを細く締め付け、胸元の広いドレスが一般的になりましたが、いわゆる「子ども向け」の服装はありませんでした。

 ところが、18世紀後半、ルソーの自然主義の考え方が入り、「子どもの身体をきつく縛ったり、固定することは、身体の成長だけでなく、精神にも悪い影響を与える」と、言われはじめました。それで流行したのが、ワンピース型ドレスです。

 本来のアリスちゃんの洋服も、ワンピース型のドレスでした(下の写真)。とても着心地がよい、活動しやすい洋服です。また、洋服の生地は、木綿と思われますが、浴衣のような堅い素材の木綿ではなく、綿ローンの肌にやさしい生地を使用しております。


 
 そして、ペチコート(下着)の縁取りもご覧下さい(下の写真)


 
 洋服と共にレースが発展しましたので、ペチコートの縁どりのレースは、ボビンで製作された手作りのレースではないかと思われます。後に着替えとして日本で製作された洋服(さらに右のケースで展示)のレースと比較してみてください(下の写真)。違いがわかるでしょう。


 
 たかが洋服と思われるかもしれませんが、この小さい人形衣装の中に、洋服の形、レース、色、刺繍など、日本の歴史にないものがたくさん詰まっています。現在見ても大変感慨深く感じるのですから、当時の人達は、我々の想像のつかない程、驚かれたのではないでしょうか。

(学芸員 舩井由美子)

 

 

2010年10月11日月曜日

巡回展(1) はじまりました!

 
ご近所の仲良し主婦グループも見学
 10月9日(土)から、巡回展「海を渡った人形と平和への願い」が始まりました。

 3連休中、9日(土)に42人、10日(日)に78人、11日(祝・体育の日)に242人のお客様にご観覧いただきました。ありがとうございました。

 「青い目の人形」アリス・ジョンストンちゃん、答礼人形「ミス徳島」、いずれもかわいらしいですね。昭和2年(1927年)から83年間、途中、「戦争の時代」を乗り越えて、日米友好のシンボルとなった2体の人形に敬意を表します。

(主任学芸員 松下師一)

〔追伸〕今日から随時、巡回展に関する話題を掲載します。お楽しみに。


2010年10月2日土曜日

『松茂町誌』余話(1) - 自然のこと -

 
 久々の更新です。このところ『松茂町誌』続編第3巻の編集に苦戦しており、1日の時間が36時間ぐらい欲しい気分です。

 今、私が集中的に取り組んでいるのは、「松茂町の自然」についてのコラム執筆と、「松茂町の産業」についての原稿の取りまとめです。そんな仕事中に思ったのですが、つい最近(この10年間)の歴史をまとめる仕事なのに、意外と知らないことが多々あるものです。

 その代表的な例が、「松茂町の自然」で採り上げる「ルアー釣り」の話です。松茂町内を流れる「旧吉野川」は、どうも「ルアー釣り」の世界では全国的に知られた場所らしく、Webで検索してみると、旧吉野川での釣行記がたくさんUpされています。そういえば土・日・祝日には、私の通勤ルートの旧吉野川の土手際に、県外ナンバーの車がたくさん駐車しているように思います。たぶん、ブラックバスを狙った釣り人なのでしょう。

 どんな分野であれ、松茂町(旧吉野川)が「全国区」なのはうれしいことですが、いかんせん悩ましいのは、その対象魚が「外来種」であることです。「外来種」が生態系に与える影響については、今さら説明するまでもありません。

 なんとも、悩ましい「全国区」です。

(主任学芸員 松下師一)