2014年2月16日日曜日

“1枚の絵”も展示終了

  
 当館では、毎年8月に、学芸員資格の取得を目指す大学生を、「博物館実習生」として受け入れています。

 今年度の博物館実習は、8月27日(火)~9月1日(日)の1週間でした。その際、実習課題として1枚の絵の展示を行いました(下の写真)。


 たった1枚の絵の展示ですが、その準備作業は膨大なものでした。

  (1)収蔵庫内での資料整理(約80点)
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  (2)整理資料のクリーニング
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  (3)同資料のデータカード作成と写真撮影
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  (4)データカードのコンピュータ入力
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  (5)データを見て展示候補のピックアップ
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  (6)展示解説(キャプション)の調査・執筆
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  (7)実際の展示作業
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  (8)模擬ギャラリートークの実施

 というわけです。

 この、実習生の思い出が詰まった“1枚の絵”も、本日(2月16日)で展示終了です。半年にわたり、当館文化財展示室(人形浄瑠璃芝居の展示室)前に掲示してありましたが、次の企画を開催するために撤収します。

 実習生の皆さん、今ごろは卒論を終えて、次のステップ(就職・進学)に向けて英気を養っていると思います。ぜひ、次のステップでも活躍されますよう祈念しています。

(主任学芸員 松下師一)

〔追記〕
 なお、この絵の展示のキャプション中、「かんごい(甘恋)」と記した箇所は、「かんごい(寒声)」※と解釈する方が適切であるとの指摘を受けました。ご指摘くださいました早稲田大学の神津武男先生に感謝を申し上げるとともに、その旨を訂正補足させていただきます。
※ジャパンナレッジ「日本国語大辞典」で、【寒声】を検索すると、「歌を習う者や僧などがのどをきたえるため、寒中、早朝や夜中に発声練習をすること。また、その声。」とある。

「1日学芸員」の展示が終了しました


 当初、昨年12月末までを会期としていた喜来小学校6年生3名(「1日学芸員」たち)の展示ですが、館の事情により1ヶ月余り延長して、本日(2月16日)終了となりました。

 ちょうど1月~2月は、小学校3年生の社会科見学が続く期間です。今月13日(木)には、喜来小学校の3年生も見学に訪れ、先輩達の展示を見学していました。



 「1日学芸員」として展示に取り組んだ3人に、あらためて感謝を申し上げたいと思います。


(主任学芸員 松下師一)

「版画家・井上員男ミニ作品展」の記録

  
  皆さん、ずいぶんご無沙汰しています。当館学芸員の松下です。ここ数ヶ月とても忙しく、このWebの更新が滞っておりました。おわび申し上げます。

  久々、更新するにあたって、当館の展示の記録を掲載したいと思います。下記の写真は、本日(2月16日)まで開催の「版画家・井上員男ミニ作品展 -中西仁智雄コレクション“阿波木偶人形”との出会い-」の様子です。


  ペーパードライポイント(紙凹版)の版画家・井上員男さんは、香川県の出身で、若い頃に吉野川流域を探訪し、阿波の民俗(生活文化)にモチーフ(画題)を求められました。今回展示の阿波木偶人形の版画も、そうした頃に中西仁智雄氏と出会い、氏のコレクションをスケッチしたのが創作の由来です。


  現在、井上さんは神奈川県の鎌倉にお住まいで、ペーパードライポイントの創作を継続されています。


  下の写真は、当館「中西仁智雄コレクション」の武智光秀をモチーフにした2枚の版画です。左の版画は頭(かしら)だけで、右の版画は衣装附きの全身人形です。なお、当館文化財展示室に展示中の武智光秀は、衣装附きの状態(右の版画の状態)で、同室南ケース内に堂々と立っています。


  夕霧の版画は、モデルとなった木偶頭(でこかしら)と一緒に展示しました。

  よく見ると、左の版画と右の頭とでは、少し違いがあります。そう、かんざしの本数に違いがあるのです。井上さんがスケッチした当時は、かんざしが1本破損していたため、3本しか描かれていません。その後、同コレクションが当館に寄贈される際に、かんざしを修繕したため、現在では4本挿さっています。


  「がぶ」の版画は、少し怖い感じがします(なにしろ美女が変化する妖怪ですからね)。モデルとなった木偶頭「がぶ」は、当館文化財展示室の南ケース内に展示中です。


  以上、ミニ作品展の記録でした。今回展示の版画4点は、いずれも当館所蔵作品です。

  この「版画家・井上員男ミニ作品展」は、一端本日(2月16日)で終了しますが、また夏ごろには再開したいと考えています。


(主任学芸員 松下師一)