今年度、郷土の先覚者・鳥居龍蔵を顕彰する徳島県立鳥居龍蔵記念博物館を盛り上げようと、同館と県立博物館を中心に「鳥居龍蔵記念博物館パワーアップ事業実行委員会」を立ち上げ、特別陳列「鳥居龍蔵とアイヌ ─ 北方へのまなざし ─」や記念公演・ギャラリートーク・ワークショップなどに取り組んでいます(私も微力ながら、そのお手伝いをしております)。
てなわけで、本日(2月24日)、週休日を利用して、小学2年生の息子と一緒に、ワークショップに参加してきました。
午前のワークショップは「アイヌ文化を体験しよう─食文化に親しむ」で、午後は同「アイヌ文化を体験しよう─文様に親しむ」でした。いずれも講師は、北海道で学芸員経験のある高尾戸美氏です。
まず「食文化に親しむ」ですが、会場の県立博物館実習室に到着すると、目の前に乾燥した巨大な鮭がぶら下がっています。
鼻先が曲がって体の大きな鮭〔左〕がオスで、小さな方がメスとのことです。
ワークショップの前半は、スライドを見ながら、講師がアイヌ文化を解説していきます。狩猟と採集を主とした、アイヌの生活文化(食文化)について、わかりやすいお話です。
そして、お楽しみの食文化を体験します。要するに試食ですね。最初の一品は、お団子に昆布を添えたものでした。
続いては、「オハウ」という名前の汁物です。具は鮭と野菜で、実にあっさりした味でした。講師の話によれば、明治以前のアイヌには製塩の文化が無く、和人との交易で入手する貴重品だったそうです。主たる調味料は、魚や獣の脂(あぶら)なんだそうです。
県立博物館のスタッフも、参加者も協力して配膳します。
二品揃いましたが、まだあります。
講師が缶詰から肉料理を皿に盛りました。そうヒグマの肉です。
ヒグマの肉は、缶詰になっているだけあって、現代日本人向けに味付けされていました。もしかして、北海道土産とかで売られているのでしょうか?
フルコースが揃い、ようやく「いただきます!」と試食開始です。
* * * *
さて、ワークショップは、アイヌの食文化を試食して終わりではありません。私たち徳島県との関わりを考えるべく、徳島版の「オハウ」を考案することになりました。
各テーブルごとに話し合って、とくしまの素材を活かしたレシピを考案します。私のテーブルは、私たち親子と東大阪市のご夫婦でしたが、小学2年生の息子が班長になって、意見を画用紙にまとめていきます。
「かんせいようそうず」は班長が描きましたが、なぜか発表は班長の命令により私がしました。
各班から多数のレシピ案が出され、一例として県立博物館のスタッフが考えた徳島県版「オハウ」が調理されました(下の写真)。
午前のワークショップは、ここまでです。
午後のワークショップは、「アイヌ文化を体験しよう─文様に親しむ」です。まず最初に、特別陳列「鳥居龍蔵とアイヌ ─ 北方へのまなざし ─」の会場に行き、実際のアイヌの衣装や道具を見ながら、文様をくわしく観察します。
展示室から実習室に戻り、参加者各自がアイヌの文様を切り絵で再現します。講師の説明の後、折紙に図案を写して、ハサミやナイフで紙を切って仕上げます。
よしよし、うまくできた。左下の名札が平仮名なのは、ワークショップに参加した子どもたち向けのご愛敬です。
(主任学芸員 松下師一 @休日の過ごし方)