2011年10月10日月曜日

『町誌』続編第三巻の見どころ・読みどころ(9)

  
◇読ませる町誌 -続編第三巻-◇

 いずこの「市町村誌」も、編集形態が類型化しほぼ似通っている。

 これは、あらゆる分野の事実を網羅し、しかもそれらをある程度決まった順序で記録しなければならないだけにやむを得ないものがあり、『松茂町誌』の既刊誌も同じようなパターンで記述されている。

 ところが、今回発行の「続編第三巻」は、その編集に相当な工夫が見られ、「読ませる町誌」に変容していることに気づく。

 本年が町制施行50周年に当たることもあって、先ず冒頭に、特集「地域小史-50年のあゆみ-」を掲載している。12地域の略史と、住民18名の方々のインタビュー記事で、地域史をより身近に感じさせているのが印象深い。ややもすれば、この種の書冊は堅苦しく近寄りがたいイメージがあるものだが、各所に100に余るコラムを配するなど、その雰囲気を和らげ町民のものにしている。まさに編集の“妙”であろう。

 B5判、889ページに及ぶ大全だけに、文庫本や新書本のように持ち歩き読みは困難ではあるが、各家庭に1冊は将来に遺す財産として備え、時に応じて開いて欲しい「松茂百科全書」である。

(「松茂を短歌で遺す会」創立者/元・松茂町文化財保護審議会委員 小山美明)

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2011年10月2日日曜日

『町誌』続編第三巻の見どころ・読みどころ(8)


◇写真撮影の思い出◇
  
 今回の編さん作業では、色んな作業をお手伝いさせていただきました。その中でも、「古い資料のデータ化(スキャン)」や「写真撮影」では、主担当をさせていただきました。

 「古い資料のデータ化」は、ひたすら「資料をスキャンしてはパソコンへ取り込む」といった作業のくり返しで、ちょっと話題が少ないです。その点、思い出深いのは「写真撮影」ですね。思い出のエピソードを、少々ご披露します。

 良いアングルを探しやすく、何処でもすぐ止まれるというので、歴史民俗資料館のママチャリ自転車にでっかいカメラバッグを載せて、町内を文字通り東奔西走しました。地図で見るとかなり小さな我が松茂町ですが、長岸から長原まで一気に自転車で走ったりすると、平地ばかりとは言え、かなり大変でした。

 「先祖代々、生まれも、育ちも、現住所も、松茂町」という自分でさえ、まだ行ったことが無かった場所は多く、撮影で初めて足を踏み入れた場所も沢山ありました。

 また、「おそらく『町誌』編さん業務が無ければ、一生この場所には来なかったんじゃないだろうか?」と思うような地点にも、撮影に向かいました。たとえば、本誌348頁上段の「松茂町第二環境センター全景」の撮影ポイントなどは、道はあれども気軽にドライブ気分で行くと、戻るのに大変に難儀しそうなポイントでした…。(気になる方は是非、本誌でご確認のうえ、地点を予想してみて下さい。)

 各紙面の内容や話題に合わせたシーンの撮影時には、町内外、たくさんの方にご協力いただきました。

 突然に「畑作業を撮影させて頂いても良いでしょうか?」と現れた私は、さぞや怪しい不審人物だったかと思いますが、皆さんとても快く了解して下さいました。その節は本当にありがとうございました!

 建物・風景・イベント・人物…etc…。 デジタルカメラの利点を生かし、数え切れないほどたくさんの枚数を撮らせて頂きましたが、紙面が有限である都合上、今回の町誌には掲載できなかった写真が多数あります。掲載できなかった写真も、松茂町歴史民俗資料館に、“今・現在の歴史”を記録した写真資料として、末永く保管させていただきます。

 今回の続編第三巻には、「地域小史」と題した巻頭特集があり、昔の様子が分かる写真を多数掲載しました。

 誌面の都合で掲載できなかった写真も、もしかしたら…出番はもうちょっとだけ、先の未来に用意されるかもしれません。だから、どうぞ気長にお待ちいただけると幸いです。

(前・町誌編さん事務補佐員/現・歴史民俗資料調査指導員 冨士久美子)

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