2015年3月3日火曜日

第7回「現代の木偶展」に出品して

 
  2015年2月26日(木)から3月1日(日)までの4日間、あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)3階B展示室を会場に、第7回「現代の木偶展」が開催されました。

  過去6年間の同展では、阿波木偶作家協会に所属する現代の人形師たちの作品と、財団法人徳島県文化振興財団が主催する「阿波木偶制作教室」受講生たちの作品が展示されていましたが、この第7回の展示では、「人形富 生誕200年」を記念して、人形富作の名品もあわせて展示することになりました。

  そこで、人形富作の木偶頭を複数所蔵する当館(松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居資料館)では、文化財展示室に常設展示している人形富の頭2点を出品・展示することになりました。

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  以下の写真は、最終日(3月1日)の午後、第7回「現代の木偶展」の様子です。まず会場に到着すると、当館から出品した人形富作「娘頭」のポスターがお出迎えしてくれます。


  会場入口の吊り看板も、当館の木偶ですね。


  会場内には、びっしりと木偶人形が展示されており、現代の人形師たちが精力的に制作している状況と、多くの受講生(アマチュア)たちが制作を趣味として楽しんでいる様子が伝わってきました。まず間違いなく、徳島県は日本一木偶人形制作が盛んな土地柄です。

  お馴染み「お弓」と「おつる」の頭をはじめ、様々な役柄の木偶頭・人形が並ぶ様子は壮観でしたが、「著作権上問題があるかな?」と思って、写真の撮影は自粛しました。

  そして会場を奥まで進むと、見覚えのある後ろ姿の二人がいます。長年、当館(松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居資料館)の木偶人形教室の指導をされた甘利洋一郎先生〔右〕と吉田尚行先生〔左〕です。吉田先生には、今も松茂町内の木偶彫りサークルをご指導いただいています。


  二人の先生方が談笑されている前に、当館から出品の2点が展示されていました。壁面には、人形富の墓碑の写真も展示されています。


  幕末~明治に活躍した人形富は、かの有名な天狗久の師匠で、小ぶりですが美しい頭を作っています。ただ、現存する作品の数が少なく、複数の頭が一堂に揃う機会は貴重です。今回、複数の頭を展示したことにより、甘利先生から「人形富の頭を並べてみると、左目と右目の彫りが一様に違うことがわかる。」との指摘がありました。
(主任学芸員 松下師一)